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「東急プラザ銀座」がガラガラだった件

矢島不動産管理の内藤です。
先日、所用で銀座に行ったついでに「東急プラザ銀座」というビルに立ち寄りました。

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このビルについては以前youtubeでテナントが入っていないというのを観ており、銀座の改札を出ると目の前に「東急プラザ銀座」が出てきたので、「これは入るしかない」ということでいざ潜入。

駅直結でアクセス抜群。しかも数寄屋橋交差点という超一等地。
普通なら“人がごった返しているはず”の場所です。

ところが、実際に入ってみると…

びっくりするほどガラガラ。

物販フロアは店員さんしか人がいないのでは、、、
6階?だったか忘れてしまいましたが、立ち入り禁止になっている状況(おそらくテナントが一つも入っていないのでしょう)

営業しているのは飲食店が中心。


■ 物販が機能しない商業施設のリアル

今の商業ビルは、かつてのように
“大きい物販で階数を埋める”
というモデルがほぼ成立しません。

EC台頭

百貨店の不振

店舗側の出店縮小

高額な内装費・什器費の負担

これらが重なり、銀座という立地でさえテナントが埋まらない。
実際に自分の目で見て、構造の変わり方を実感しました。

■ 今年、このビルは「1,500億円」で買収された

そんな“ガラガラのビル”ですが、
2025年に 香港 Gaw Capital Partners と
シンガポール Patience Capital Group が共同で
約10億ドル(=約1,500億円)で取得 しました。

東急不動産HDは運営から離れ、
新オーナーがテナント入替やリニューアルで再構築を狙う方針。


■ 再開発の本当のリスクは“完成後”にある

最近の新宿の再開発が止まっている件もそうですが、
都市開発の難しさは建築費よりもむしろ “入居リスク” にあります。

建築費は高騰(躯体から設備まで全て上昇)

開発側が読み違えれば、空き区画が長期化

商業テナントは縮小傾向で誘致が難しい

飲食は回転が速く、長期安定が期待しづらい

オフィス需要も二極化(大手以外は縮小)

立地が良くても、テナントが入らなければ終わり。
まさに “建てるのが怖い” という時代です。

■ これからの開発はどう変わるのか

今回の東急プラザ銀座の現状を見ると、
これからの都市開発は確実に次の方向へ進んでいくと感じます。

● ① 商業単体は厳しい → 用途ミックスへ

(商業+オフィス+ホテル+住宅)など
複合化しないとリスクが取れない。

● ② 大規模開発は“慎重化”が進む

数千億円規模のプロジェクトは、
テナントの確保が読めない現代では非常に重い。

● ③ 駅直結でも安心できない

「銀座 × 駅直結 × 東急ブランド」でもガラガラ。
これが今の現実。

■ まとめ

東急プラザ銀座の現状は、
“日本の商業開発モデルが転換点に来ている”
という強烈なサインだと思います。

建物をつくるだけでは価値は生まれず、
「誰が入るのか」「どう運営するのか」「どう再生するのか」
が、これまで以上に重視される時代へ。

銀座のど真ん中で“ガラガラ”を目の当たりにして、
都市開発の潮目が完全に変わったことを痛感しました。